馬鹿も歩けば何かに当たる… 健康診断(人間ドック)

2025-10-23

つれづれ

年に一回の健康診断(人間ドック)に行ってきた。そこで、目にしたものもなかなかに興味深い。今回、気になったことを少し書いてみる。

あたりまえとは思いつつ、医療の場もIT

受付で問診票と検便容器を提出して、更衣室で検査着に着替えて、待合室に行くと問診に呼ばれる。問診室で当日の体調を聞かれ絶食していることを確認される。
確認が終わり、検査可能と判断されて、腕に名前と番号とバーコードを印刷された紙テープを巻かれた。
各検査の際にこのバーコードを読み取ることで本人確認を行い、同時に検査結果が本人の検診記録データに追加されていくという仕組み。
このようなやり方になって数年(以上)経ったが、どこでも常にITにお世話になっている。

無事に手首にバーコードテープを巻かれて、第一関門を無事突破といったところ。
検査室に案内される。
(PhotoACのフリー画像 (作者:beauty-box)

年間の検査は10000人以上?

検査室といっても広い部屋で、背もたれの付いた3人掛けの椅子がざっと20ほど置かれていて、壁側に各検査の小部屋が配置されている。椅子に座って検査の順番を待ち、番号で呼ばれてそれぞれの検査を受けるという段取りとなっている。
待ち時間の間にニュースでも読もうとタブレットを持っていったが、右や左から次々に「○○番でお越しの方」と呼び出されるので自分の番号かどうかを聞き分けなければならず、なかなかニュースを集中して読めない。
ふと壁を見ると健診の受診者を対象にした検査結果の分析・考察の報告が大きく貼り出されていた。受診者の年齢層別の分布が棒グラフを使ってわかりやすく示されているようだが、グラフの棒に添えられて書かれている小数の数字がそれぞれの年齢層の検査陽性立だということに気づくまでしばらくかかった。
検査だけではなく研究や分析もしています。という健診センターの宣伝を兼ねているのだと思うが、私は1年間の受診者数に興味を持った。
男性が6千何人、女性が4千何人とある。この健診センターは年間で1万人以上の健康診断をしていることになる。

年間で1万人。すごい数だと思った。健診の値段など考えたことがなかったがその場で検索したところ人間ドック(半日ドック)が3万〜6万円らしいのでざっくり一人4万円計算すると年間の健診収入は4億円になる。すご金額だと思った。と、同時に疑問も湧いた。

年収700万の検査技師が30人だと人件費は…

数えたわけではないが検査の種類ごとに小部屋に分かれているこの検査室全体で働かれている検査員(?)(検査技師?、看護師?)の人数は30人くらいになるだろうか?
その人たちの年収は全くわからないが、500万ということはないのではないだろうか。もしかすると700万くらいあるのではないか?
700万×30人=2億1千万。健診収入4億円の半分が人件費となる計算になる。
血液検査にしてもレントゲン検査にしても健診センターとしては費用額かかるだろうから、4億円のうち健診センターの利益として残る分はそんなに多くないのではないか。
などと計算しているうちに番号を呼ばれた。気づけてよかった。
手首にまかれた紙テープに印刷された番号を再確認して手を挙げて立ち上がる。別に手を挙げる必要はないのだが「気づいてますよ」というサインである。

最初に呼ばれたのは心電図である。心電図は検査室の右奥のほうらしく看護師(? 技師?)に誘導されて部屋の奥についていく。いつもは血圧や採血などからなのだが、今回は心電図だった。昨年、波形の乱れの指摘があったからなのかもしれない。
たくさんの電気コードが吊り下げられているベッドに横たわるように言われて頭が枕の位置になるようにベッドにあがる。電極が胸にあてられるときは冷たくて驚いた。…(中略)…
心電図はあっさりと終わった。元の待合の椅子に戻るように言われて戻りは一人だ。
次に呼ばれたのはレントゲン、その次は血圧、採血と次々と検査は進む。
それぞれ検査の前に手首の紙テープのバーコードをスキャンされ、名前を再確認したうえで検査を始める。別人を間違えて検査すると大変なことになる。毎度確認されるのはちゃんと検査してもらえるという安心感になる。
血圧の検査の時に気づいたのだが、腕を通して図る血圧の計測器の結果は横に置かれているディスプレイに表示される。そのディスプレイの横に縦長の黒い箱状のものが置かれている。一見、自宅にある無線ルータのように見えるが、おそらく小型のパソコンだと思う。血圧の計測器からこのパソコンに計測結果が送られてそれがディスプレイに表示される。同時にバーコードで読み取った私の番号をキー情報として検診結果のデータベースに計測結果が書き込まれるのだ。医療の場にもITはしっかり入り込んでいるのを実感する。
検査が終わると次の検査が何であるのかを教えてもらって再び待合の椅子の置かれた広い場所に戻る。検査システムが次の検査を示していてそれを見て検査技師の方が伝えてくれるのだろう。検査システムは単に検査結果をデータベースに書き溜めるだけのものではなく、その日の受信者の人数や検査項目や検査の進み具合から待ち時間が少なくなるようにその日の検査スケジュールを組み立てているのだと想像できる。
検査技師は自分の担当の検査をミスなく行うことだけに集中すればよいようになっていると言えるが、見方を変えると、システムの指示に従って検査作業だけを行う「仕組みの一部」のような存在のようにも見える。
いずれにしても✕✕システムと呼ばれるようなコンピュータの仕組みによって便利になったものだと感心していると同時にふいに恐ろしさも感じた。

システム化による効率化の反動?

医療機関に限らないが様々なシステムによって便利になり効率も向上した。健康診断の場で見た検査システムも検査が効率よく実施できるだけではなくて、リアルタイムに検査結果がデータベースに反映され、検査が終われば血液検査の一部など時間が必要なものを除いて医師による結果説明が行える。
ただ、もし、このシステムがサイバー攻撃を受ければ…と思うと恐ろしいと感じた。
検査はおそらくストップする。結果の記録もできず、どこまで検査が済んだのかがわからないので次の検査の指示もできなくなる。当日の検査だけでなく、システム復旧が即日に行えないなら翌日以降の検査がでっしできない、予約者にすぐに連絡しなければならない。検査結果のデータベースにまで攻撃の影響が及んでいれば過去の検査結果との比較にも支障が出るだろう。経過観察しているようなケースはその診断ができなくなる。
レントゲンやCTなどの画像情報も画像が消えていないからと安心できない。前後が入れ変わるだけでも診断に影響する。もし、他の人のデータと誤ってつながるような状態になると大きな誤った診断をしてしまうことにもなる。そう考えると、仮にサーバー攻撃が終わってシステムに侵入したウィルスを消す(駆除)ことができたとしても、データが間違いなく復旧できたかを確認するには相当の時間がかかると思う。
最近起きたアサヒビールの出荷ができなくなった事件や出荷ができなくなったアスクルの事件のことを考えると、医療機関のシステムのウィルス対策・サイバー攻撃に対する対策はどこまで行えているのか心配(不安)になった。
だから、と言って、人による書類での管理に戻ることはできない。その時代の効率では今は間に合わなくなっている。
この日の検査もおそらく100人程度はいるのだと思われる。自分の番号が180番台で、検査開始が遅いほうのグループと推測できること、そして検査技師の方とのちょっとした会話から聞いた「忙しいけど100人はいかない」という話などからの推測だ。
それをほぼ午前中に終わらせなければならない。空腹のまま2時や3時まで待ってもらうわけにはいかない。
人間ドックの費用は決して安くない。サーバー攻撃のリスクを避けるために手記入による書類管理に切り替えますので1日の受診者数を半分にしますので値段を倍にします。というわけにはいかない。
要は、システムを使った効率的な検査は無くすことができなくなっている。

無難に検査終了

いろいろと想像を膨らませることができた今回の健康診断(人間ドック)だった。当日の内科医の方による結果説明では、以前からの指摘事項をなぞるような内容で大きな問題はなかった。とりあえずは安心だ。
受付で検査の終わったことを告げ、着替えが終わって精算すると、食事券をもらえた。この検査センターでは昼食を食事券で提供してくれる。別のセンターでは近所の提携の食堂やレストランで「検診セット」のようなランチ券であったり、センター内でお弁当を用意して(大人の?)食育スライドを見せながら弁当の料理と健康の関連を説明してくれたりもする。
このあたりもいかにして人気の検診として選んでもらえるかという健康診断の〝ビジネス〟の一面だと思うが、半日人間ドックの料金にこの食事券代も含まれている。そう考えるとすくし複雑な気持ちになる。その分検診料金を下げてくれればいいのにと…
少しおまけ
今回行った検診センターは健康診断だけを専門に行っていて病院の患者さんは受診に来られていない。(※)
そうすると、健康診断で経営を成り立たせる必要がある。と考えれば、どれだけ効率的に検査をこなし、どれだけ多くの受診者を集めるかが必要になってくる。検査の精度や質は落とせない。技師も確かで誠実な人を揃えなければならない。企業への営業も必要になると思われる。「医は算術」ではないが損失を出して続けられるものではない。大きく儲けないまでも人を維持して設備を維持・刷新していくだけの利益は出す必要がある。
都会の検診センターはそんなふうに考えるのかもしれない。
少し前にニッサンの工場閉鎖のニュースが話題になった。あれほどの規模で働く人が街からいなくなるようなことが起これば、その地の検診センターはどうするのだろうか?
もちろん検診センターだけではないが、そんなことも考えてしまった。

1年で1万人も検診できない市や町もあると思う。そこでは、その規模にあったやり方を考えるのだと思う。一人の技師でより多くの検査を行うとか… 

(※) もちろん、本院にあたる病院患者の検査の日や提携の医療機関や看護施設の入所者のかたの検査の日などもあるかもしれない。そのあたりのことは分からない)

少々、長文になりました

少し調子に乗って長々と書いていしまいました。
街を歩いて見たわけではないが、家の外に出るといろいろと面白いものを目にします。
今回は、健診センターで見て思ったことでした。

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ようこそ「かえではカエルの手って知らなかった」 ブログへ    2020年8月に開設したこのブログ、6年目に突入しました。 前々回はアメリカ大統領の関税発言で株価が急落したことを書いていましたが、それも5月の半ばには元の水準まで戻り、7月には日経平均株価も4万円まで回復しました。...

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