○アンカリング (Anchoring)

2025-03-10

ことのは つぶやき

 アンカリング (Anchoring)とは

・直訳すると「錨を下ろす」という意味
・心理学の分野では「アンカリング効果」として知られており、
 人々が初めて得た情報(アンカー)を基準にして後続の情報を評価する傾向を指す。
 例えば、価格交渉において最初に提示された価格が、その後の交渉の基準となる現象。
Weblio国語辞典」を参考に整理
この言葉に注目したのは、
「先に提示されたら提示された側はそれを基準に考えてしまう」ということ。
物事(問題)について考えるとき、何か基準があると考えやすい。
しかし、先に案を示されるとそれを基準にして考えてしまいやすくなる。

実は、この言葉は、「2020年6月30日にまたここで会おう」(瀧本哲史著 海星社新書)という本を読んで印象に残ったもの。
以下にその一部を引用する。
 アンカリングで有名なのは、組織行動研究の第一人者、グレッグ・ノースクラフトとマーガレット・ニール教授の実験です。
 彼らは、複数の不動産業者と、ぜんぜん不動産に関する知識がない学生たちに、ある1軒の住宅の売り出し価格を査定してもらうという実験を行ったんですね。
 各人に、間取りや築年数などの物件情報、近隣の価格相場などの資料を渡したうえで査定してもらったわけですが、資料の中の「住宅所有者の売却希望価格」だけは、人によって載せる数字を変えて、11万9000ドル、12万9000ドル、13万9000ドル、14万9000ドルの4種類を掲載しました。
 学生はともかく、プロだったら、所有者の主観が入った希望価格なんて考慮せず、客観的に分析して、その不動産の適正価格を査定できると思うじゃないですか?
 でも実験の結果は、ぜんぜんそうじゃなかったんです。プロだろうと学生だろうと等しく、アンカリングに見事に影響されてしまったんですね。
 高い希望価格は書いてあった人のほうが、それにつられて、高い売り出し価格を出してしまいました。
 それくらい、アンカリングは強力だということです。
瀧本哲史著「2020年6月30日にまたここで会おう」91ページより

今の国会では、国民民主党が課税最低限の金額、いわゆる「103万円の壁」を178万円に引き上げる案について与党(自民党・公明党)と国民民主党の間で交渉が行われている。
当初、自民党は123万円という引き上げ額を提示したが、これが「アンカリング」になる。
自民党としては、123万円~178万円を範囲として中央値の150万円を落としどころとして提示した金額ではないかと推測するが、国民民主党は「話にならない」と一蹴した。
アンカリングによって金額交渉に持ち込もうとした自民党に対して、国民民主党はそのテーブルに乗らなかった。国民民主党は、課税最低限の額の引き上げの必要性とその額が178万であるという主張に対しする強い意志を示したと私は感じた。

この交渉は、2段階や3段階の所得制限を設けるなど複雑な案が与党から示されるなどして継続中であるが、「示された案を基準にして考えてしまう」というアンカリングという手法には用心しないといけない。と、最近強く感じたことである。




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